• 描写
  • 色彩
  • 小論文
  • 立体
  • 総評

■描写

与えられたポリ袋ポテトチップスを台紙上に配置し、
鉛筆で描写しなさい。

  • ・条件
  • 1.与えられたすべての対象物を描写すること。
  • 2.ポテトチップスは中袋及び、中身を出してもよい。

描写担当
上杉 宏嗣(うえすぎ ひろつぐ)

与えられたモチーフは2点でしたが、「ポテトチップスは中袋及び中身、を出しても良い。」という条件であったこと、また、ポリ袋は形を変えることができるモチーフであった事から、実際のところ、構成・構図のバリエーションはかなり多くあったと考えられます。
配布された状態そのままで配置すると「空間の演出」や「画面にバランスよく収めること」が顕著に難しくなるモチーフです。 受験者には、上記の条件やモチーフの性質を最大限有効に利用しながら、構成・構図に対応することが求められました。 構成・構図に対する深い理解のみでなく、受験者が主体的に制作へ取り組む姿勢が必要であったと感じます。
描写においては、ポテトチップス(外箱、中袋、中身)ポリ袋はそれぞれ異なる材質であり、表情の性質が違うため、描き分けには「実直な観察」と「実感のある表現」が問われます。小手先のテクニックだけでは決して打開できない課題であったといえます。

■色彩

テーマ「メロディ」
下記の条件にしたがって色彩表現をしなさい。

  • ・条件
  • 1.解答用紙は、長辺を上下とし、表裏どちらを使ってもよい。
  • 2.下図に示すように、解答用紙は、上部と下部に、各9㎝幅の余白を設けて、
      中央部を解答画面とし、余白部分には、彩色しない。彩色は、不透明水彩絵の具を使う。
  • 3.解答画面は、直線で分割し、各直線の両端は、解答画面の端に接する。
  • 4.直線で分割されたそれぞれの面は1色だけで彩色し、色の濃淡を用いずにベタ塗りのみとする。
  • 5.隣接する面同士は、同色にならないようにする。


色彩担当
田和 篤(たわ あつし)

「色彩とは、形と色で成立している」という、当たり前のことを問うている入試問題です。
テーマである『メロディ』を、条件に従って「直線分割のみで表現する」ことが可能かどうかを、受験生はまず考える必要があります。
形について考えてみると、『メロディ』を表す形は、直線より曲線を用いた分割の方がイメージしやすいと思いますが、直線分割で表現できる形は、三角形、四角形、不規則な多角形などです。それら幾何形体の変化や繰り返しを用いて、テーマに答えることを考える必要があります。
ただし、直線を拡大解釈して、「具体的なモノを作図して表現すること」が求められていたとは考えにくいです。色について考えてみると、『メロディ』からはハーモニーや流れといった「色の調和」を連想します。対比的な組合せだけでは、テーマから外れてしまうでしょう。「色の連鎖(つながり)」や「響き合い」でテーマに答えることが求められていると考えられます。

■小論文

出典:丸山 眞男 著『日本の思想』 岩波新書 1961年から抜粋

※正確な設問文ではありません

  • 設問1. 200字以内で文章を要約しなさい。
  • 設問2. 課題文章の内容以外で、現実よりもイリュージョンの方がリアリティがある例を3つ挙げなさい。
  • 設問3. 文章内では、1960年代の新しいかたちの自己阻害の状況について述べているが、
        今の状況について考えを述べなさい。

小論文担当
田和 篤(たわ あつし)

今年度は、<丸山眞男著『日本の思想 岩波新書1961年』>から課題文章が出題されました。昨年度出題されたような絵画を読み解く設問や、イメージを描かせるような設問はなく、200字での文章要約と、文章に添って例を挙げる設問、持論を述べる形式の設問の3つでした。課題文章は、美術とは直接関係のない「近代の日本思想」について述べた内容です。こういった美術と直接関係のない文章が課題として出されることが多いのも、京都芸大の総合芸術学科の特色です。また、受験生に対し、「普段から身の周りの事柄に対する観察眼」を問う設問に重きが置かれていることも、大きな特色だといえます。

■立体

与えられた組立式箱と学習帳を材料に、「解体と再構成」をテーマとして、
下記条件に基づいて立体表現しなさい。

  • ・条件 ※一部抜粋
  • 1.解答作品には解答用材料として組立式箱1セット、学習帳1冊を使用しなさい。
  •   接着固定材料として木工用速乾接着剤、紙粘着テープのみを使用しなさい。
  • 2.支給された解答用材料は必ず使用すること、ただし材料はすべて使いきらなくてもよい。
  • 3.解答作品は解答用台の上に設置すること。
  • 4.解答作品は解答用台(35㎝×35㎝)をはみ出さず、また高さ35㎝からはみ出さないこと。

立体担当
原田 昌典(はらだ まさふみ)

今年度の出題においては、特殊な条件などはなく、オーソドックスな出題であったといえます。しかし、支給材料がケント紙やスチレンボードといった単純な画材ではなく、「組立式箱」と「学習帳」という「用途のある商品」であったことから、近年とはやや傾向の異なる出題だったといえるでしょう。このような場合、支給材料の「商品としての用途」に惑わされず、あくまでもそれらを材料として捉えることが必要となります。
「解体と再構築」というテーマから考えられる解答の方向性としては、大きく2つの可能性が考えられます。「作者自身が何かしらの基となる形を想定し、その形が解体され、別の形に再構築されていく一連の流れと変化を作品の中で表現する方向性」と「支給された材料(商品としての組立式箱と学習帳)の形を生かして制作する方向性」です。
どちらの方向性を選択するにせよ、受験生各々がテーマを理解し、自身の制作の方向性をしっかりと認識した上で形を決定し、実現させることが求められています。まさに、初心に立ち返るような出題であったと感じます。

■総評


総評担当
上杉 宏嗣(うえすぎ ひろつぐ)

描写・色彩・立体・小論文の4科目ともに、ここ数年の入試で一貫している、『基礎実技力・読解力・問題解決力を問う』という、京都市立芸術大学の理念が根幹にある出題内容だと感じました。 「基礎実技力」を身につけるためには、技術や知識だけでなく、各科目の本質を見極めようとする、広く、深い眼差しが必要となります。 また、「読解力」・「問題解決力」は、日々の生活の中で心を弾ませ、自分の身の回りにある物、起こる事柄に興味と関心を持ち、それらに関わっていく中で培われる力ですから、日々の生き方そのものに根差す力でもあるといえます。 「合格すれば良い」という短絡的な取り組み方では、長い時間をかけて醸成させていく受験対策自体が空虚なものとなってしまいます。 美術・デザインを志す受験生に対し、京都市立芸術大学からの真摯なメッセージを色濃く感じる出題でした。

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