京都工芸繊維大学 造形工学京都 洛南高等学校出身 |
僕がアスクに入学した当初は、デッサンというものを、ただ単なる大学入試に必要な1つの科目、という風にしか思っていませんでした。絵が得意なわけでもなかったし、とても絵が好きということもありませんでした。ただ「建築家になりたい」という気持ちだけで入学しました。
入学したての頃、茶色い1つのレンガを鉛筆デッサンするという課題がありました、今までレンガの絵を描けといわれたら、鉛筆で輪郭を描いて黒く塗りつぶしたことしかなかった僕は、1つのレンガに3時間かけてデッサンしろという課題に、ものすごいショックを受けたのを今でもよく覚えています。こんなもの一瞬で終わるだろうと実際に描き出したのはいいものの、何度書き直しても、目の前に置いてあるレンガを紙の上に美しく描くことはできませんでした。そうです、僕はデッサンというものをナメていたのです。1つのレンガにも様々な凹凸があり、構成されている砂の大きさも違います。目の前のレンガには、3時間ではとても描ききれないほどの膨大な情報がつまっていました。アスクで学んだ1番大きなことは「モノをよく見る」ということです、僕たちが生活する中で見る様々なモノ、実際はよく見ていないことだらけで、そこには膨大な情報が詰まっているということに気づいていなかったのです。アスクではモノをよく見てそれを描く手法を丁寧に教えていただきました。次第に目の前のモノを紙に美しく描けるようになり、普段の生活の中でも、自分の目で見る風景が変化していきました。そして入試に必要な想定描写においても、自分が描きたいと思ったモノを自由に描けるようになり、頭の中の映像を正確に紙に写すことができるようになっていきました。
現在、京都工芸繊維大学で建築を学ぶ中で、アスクで習ったことはとても役に立っています。アスクでの想定描写の延長線上に建築があるといっても過言ではありません。これからアスクで勉強され、造形を目指される皆さん、ここで勉強することはもう建築家への1歩を踏み出しています。1日1日を大切に、素晴らしい大学生になってください。