FILE 199 ・2020年度京芸入試速報
描写
■問題概要
与えられたコーラ、紙ふうせん、手ぬぐいを台紙上に配置し、鉛筆で描写しなさい。
- ・条件
- 1.与えられたすべての対象物を描出すること。
- 2.対象物は切る、破く、栓を開けるなど、加工をしてはいけない。
- 3.紙ふうせんは、膨らましても、膨らまさなくてもよい。
■モチーフ
■問題のポイント
構成・構図
構成や構図にさほど多くの選択肢が生じないモチーフでした。出題の意図としても、受験者には「純粋な基礎描写力を問うている」と読み取る事が出来ます。構成・構図にはさほど独自性を出す必要はなかったと推測されます。 とはいえ、構成に於いては、可変モチーフである「手ぬぐい」をただ単に床面を演出する為だけに用いるのではなく、「結ぶ」事でポイントを作る等の選択肢もありました。 構図に於いては、横画面と縦画面のどちらの可能性もあったモチーフです。基本的なモチーフの出題ではありましたが、構成・構図ともに、与えられたモチーフを観察し、冷静にその可能性を考え、選択肢を並べたうえで、判断していくことが必要です。
モチーフ構成例
横構図の例 | 縦構図の例 |
描写に於いては、基本的な観察力と表現力が強く問われました。
モチーフの固有色(コーラの「黒」、紙ふうせんの「青・赤・紫・緑・黄・白」、手ぬぐいの「白」)はグレースケールの段階に準じています。また、コーラ瓶の「凹凸」やガラス材質に宿る「現象」、さらに紙ふうせんの「皺」や「表面の光沢」など、細部にわたって表情が豊かなモチーフです。 グレースケール全体を広く用いて「固有色の順序を明確に作る」と同時に、その中の「細かな諧調を豊富に作りだす」こと、さらに、「全体と細部を画面上で調和させる」ことが求められます。 つまり、「全体と細部をくまなく観察し把握する力」や「鉛筆の選び分けや筆圧・角度の使い分け」、「練り消しゴムの使用方法」など、多彩な表現力が必要となるのです。
また、手ぬぐいと他モチーフの「同一平面の関係性」やコーラ瓶の「垂直性」、「左右の対称性」など、モチーフがシンプルであるがゆえに、「形の正確さ」も同時に問われます。 卓上静物デッサンとしてはとてもベーシックな内容でしたが、描写における受験者の「地力」が浮彫りになる出題であったと感じます。
アスクでの参考課題と作例
課題例 003 |
課題例 R01026 |
課題例 R05026 |
- 1.2020年度京芸入試速報 「描写 鉛筆描写」
- 2.2020年度京芸入試速報 「色彩 色彩表現」
- 3.2020年度京芸入試速報 「立体 立体表現」
- 4.2020年度京芸入試速報 「小論文」※総合芸術学科