京芸ファイル199:2020年度京芸入試速報 ◆ 京都アートスクール

FILE 199 ・2020年度京芸入試速報

立体

■問題概要

与えられたケント紙を使って「空気を支える形」
を下記の条件に基づいて立体表現しなさい。

  • ・条件(一部抜粋)
  • 1.解答用材料として、ケント紙を使用しなさい。
  • 2.解答用材料はすべて使いきらなくてもよい。
  • 3.ケント紙の接着には、木工用速乾接着剤、紙粘着テープのみを使用しなさい。
  • 4.解答作品は解答用台(35㎝×35㎝)をはみ出さず、また高さ35㎝からはみ出さないこと。
【支給されるもの】
 
解答用材料
:ケント紙4枚
接着材料
:木工用速乾接着剤1個、紙粘着テープ1巻
解答用台
:茶色段ボール1枚(35cmX35cm)
移動用カバー
:茶色段ボール箱1個、カバー固定用テープ2枚
制作支援用品
:灰色ボール紙1枚40cmX55cm(作業用)、上質紙3枚(アイデアスケッチ用)

■解答用材料

■問題のポイント

テーマ「空気を支える形」というものは、未だかつて誰も見たことがない形であると推測されます。 したがって、受験者には「見たことがないものをイメージし、創り出す」という「想像力」と「創造力」が強く求められました。 「空気」という漠然とした印象に対して「明確なイメージを持つこと」、さらに他の言葉では代替することができない「支えるという言葉の指し示す意味とその本質的な構造を突き止めること」、この二つを軸にして、発想し、コンセプト(狙い)を定める必要があったと考えられます。

解答には、ある程度の幅広い解釈が許されると思われますが、以下の事柄については、外せないポイントであったと考えられます。

まず一つめは、「支えるものと支えられるもの」の「関係性」を明確に表現する事です。 そして、「空気を支える立体」というテーマから、空気そのものの形を作るのではなく、「空気を支えている形」のみを解答作品として作る事が求められていたと解釈できます。そのうえで、空間の中に「虚の形」として、受験者それぞれがイメージした「空気の形」を浮かび上がらせる事が必要であったと考えられます。

   
R04002
立体課題文

作られた立体に「関係性」を表現する課題として、京都アートスクールの対策課題から、類似課題「はさむ」の課題を例に挙げます。 この課題では、ただ単に「関係性」を明確に表現するのみでは、解答作品としては不十分です。 「はさむ」という行為の根幹には様々な目的があります。具体的な事例を挙げ、観察し、「不安的だったものが固定される」や「重たいものが持ち上がる」など、ある種の「物語性」を作品に組み込む事も必要です。 その上で、「はさむ」という場に見られる「行為」を、魅力として作品を通し、表現する事が必要となります。 今回のテーマでは「支える」という行為そのものを、まず深く理解する事が必要となりました。

   
R02002
立体課題文

「立体構成」の本質にある事柄は「立体」と「空間」です。 どのようなテーマ・条件・素材の課題であっても、「作られた立体自体の美しさ」、そして、「その立体をとりまく周囲の空間を演出(可視化)する事」が求められます。 ただし、今回のようなテーマに於いては、単なる「空間の演出」にとどまる事なく、空間の中に、「虚の形」として、何かしらの「意味」を持った形をありありと浮かび上がらせる事が必要となります。

京都アートスクールの類似課題「外圧によって歪んだ立体を作りなさい」を例として紹介します。 この課題で作る立体は、「外からの圧を受け、変形した形」です。外圧を与えている原因そのものは作りません。ただし、空間の「虚の形」に、「圧を加えている原因となるもの」の存在感を、ありありと浮かび上がらせ、その関係性を明確に打ち出す事が求められます。 どのような形が、どのような方向から、どの程度の力で圧を加えられているのか、その結果、「どのように形が歪んでいるのか」を、作者は決定していく必要があります。 日常でみられる様々な事例に目を向け、コンセプトをつかみ取る、観察力や発想力が必要となります。

   
R03006
立体課題文

目に見えない情報を、立体化していく課題として、京都アートスクールの類似課題、「各自で想定する特定の音から発想し、立体構成しなさい」を例に挙げます。

この課題では、聴覚情報を視覚情報に置き換える事に取り組みます。目に見る事の出来ない情報を、立体化し、同じ印象を視覚情報で表現する事が必要となります。 このような課題では、対象から感じる「印象」を深く観察する事が重要となります。 そして、鑑賞者と共有する為の「相応しいイメージ(形象)」をつかむ事が必要です。そのためには「どのような形が、鑑賞者の心にどのように作用するのか」といった、サイズや形、構成など、「造形そのもの」に対する理解度も問われます。 答えのない事柄でもあります。作者自身が自分の意見を明確に持つ、「判断力」も必要となる課題です。

アスクメンバーサイト
京都 北大路駅前校 滋賀 彦根駅前校 京都駅前七条校(本部) 一般美術教室 こども造形表現教室 京都アートスクール NET通信実技センター 京都アートスクール お問い合わせ